蝉の恋
帰郷
夏休み。
俺はここに帰ってきた。
上京していた俺はこの夏休みを利用して、両親の元に帰ってきたのだ。
ミンミンミン・・・。
俺の実家は山の奥にあり、家は昔から曾曾曾爺さんの代からあった物で、ボロボロの家なのだ。
周りには山と田んぼで囲まれており、他には家がポツンポツンあるだけだ。
「ふぅ・・・。一年ぶりか。」
上京してからいろいろと忙しく冬には帰ってこれなかった為、
約一年とちょっとの間家には帰ってきてないのだ。
「優衣、元気かな?」
幼馴染の優衣。
子供のころから俺が上京するまでずっと一緒にいたのだ。
俺が上京する時は、とても悲しがっていた。
その時の顔を思い返すと、今でも胸が痛くなるほどだ。
ミンミンミン・・・。
この蝉も上京していた時には聞けなかった物。
ここにいた時は煩わしかった物なのに、
今の俺にとってはとても懐かしいものなのだ。
子供の頃はよく優衣を連れて、蝉を取りに行ったものだ。
ミンミンミン・・・。
「・・・もうすぐだな。」
道が舗装されていないので、俺はここまで歩いてきたのだ。
駅から1時間とちょっと。
もうすぐ俺は実家に帰るのだ。
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