title
HOME
小説TOPへ
シーダ編について
プロローグ
一話 過去
二話 お爺さん

シーダ編〜善悪の調べ〜

プロローグ 善死悪生

罪とは何でしょうか?
悪いことをしたら、罪を償うのです。
悪とは何でしょうか?
私には分かりません。
悪いこと、それは何なのでしょうか?
貴方には言えますか?
貴方は何が悪くて、何が善いのか区別がつきますか?
はっきりと言える人は少ないと思います。
いえ、それをはっきり言える人などいないのではないのでしょうか。

私は孤児でした。
親は事故で死んでしまい。
親戚もいなかった私は10歳と言う歳で冷たい社会にでなければならなかった。
靴磨き、肩もみ、洗車・・・。
子供の小遣い程度しか貰えないお金で私は生きていこうとした。
一生懸命働いて、働いて、働いて・・・。
一日中働いた。
それでも、貰えるお金は少なくて。
一日中働いても、集まるのは3桁がやっと。
一食分のお金がやっと集まるくらいなのだ。
「・・・お腹すいたよ。
」 私の空腹は一日中続いた。
例え、一日に一回の食事を取っても決してお腹が鳴き止むことは無かった。
お日様の熱い光と、一日中働いて疲れた体で、私の生命力を奪っていた。

ふらふらと足がもつれながら通りを歩く。
途中で何回も綺麗に着飾った婦人にぶつかり、地面に倒れこんだ。
その度に、私は婦人の蔑んだ冷たい目線を感じるのだ。
口にしては言わないけれど、その冷たい視線からは何でも感じ取れるのだ。
私はいつの間にか四つん這いになっていたのだ。
何度も何度も蹴られて、痛かった・・・。
でも、そんな苦しみなんて慣れていた。
ある程度行くと、露店が立ち並ぶ商店街に来たのだ。
いい匂いがする・・・。
きっとおいしいのだろうな〜。
さまざまな物が売られている露店でも私が惹かれるのは食べ物の店だ。
パンに、お米に、野菜や、肉・・・。
種類は多いけれど、どれにも惹かれていた。
私はその中の一つに目をつけて商品を盗ったのだ。
そして、すぐさま逃げて食べ物を口の中に押し込む。
疲れきった体もこの時だけは動いてくれる。
これが私が身につけた生きる方法なのだった。

私は多くの罪を重ねました。
でも、それは生きたかったから。
生きるためにやった事なのです。
それが悪と言って、私を責めるのなら 貴方は私に善によって殺されてしまえと言うのでしょうか?
この世界で何が善で何が悪なのでしょうか?
私には分かりません・・・。