シーダ編〜善悪の調べ〜
第一話 過去
大きな手に繋がれ、私はお爺さんとパンを盗んだ店に謝りに行った。
何も関係がない私にお爺さんは一緒頭を下げてくれた。
正直、嬉しかった。
誰かが私の為に謝ってくれる事が私にとって初めての事で、私をかばってくれたのも初めてだった。
悪いことをしたら、ただ怒られ、叩かれ、とても悔しい思いがした。
確かに私が悪い。でも、なんでここまでされないといけないんだ?
ちくしょー。次は失敗しないからな。
怒られながらそんな事を考えていた。
でも、間にお爺さんが入ってくれた事で、怒られはしたが叩かれたりはしなかった。
大人が間に入ってくれただけで、私は安心感を持てた。
素直に謝ることが出来た。
今まで憎んできた大人に対して、ごめんなさいと本気で思えた。
「もう、こんなことをしては駄目ですよ。」
俯く私にお爺さんは優しく声をかけた。
「でも・・・。お腹が減ってどうしても食べたかった・・・。」
私はお爺さんの方を向かず、地面を見ながら呟く。
「ふぅ・・・。それでも、やっぱり悪い事は悪いのです。どんなにお腹が減っていようとも、悪いことをしてはならないのです。悪いことをしていれば、いつか自分に返ってくる。神はそう言う掟を創ったのです。」
神の掟・・・。じゃあ、私の不幸はどこがで私が悪いことをしたからだろうか?
両親が死んでしまったのは私が悪い子だったからか?
考えてもそんなことは思い当たらない。
「神なんて・・・信じてないから。」
私が悪いのでなければ、両親?
両親が悪くなければ、誰が悪いのだろう?
考えの行き着いた先は信じもしない神だった。
「私に意地悪な神なんて信じない。勝手に掟を創って私をその型にはめようとする神なんていらない。私は生きる為に悪いことをしてる。神が悪いことをするなって言って私を掟に縛るのなら、私に死ねと言ってるのと同じ。私は死にたくなんかない。悪いことをしてでも生きたいから・・・。」
どうしてだろう?
お世話になったお爺さんの言葉に耳も貸さずに反発するようなことばかり言ってる。
そして、言いたいことを言ったら目から涙が流れていた。もう渇き切ったと思った涙がとめどもなく流れる。
「そうか・・・。君はそれだけ辛いことを経験したんだね。独りでずっと頑張って生きようとしてたんだね。」
お爺さんは私の反発に怒ることもなく優しく包みこむように頭を撫でてくれた。
孤児になってしまった私にまた親が出来たようでとても嬉しかった。
本当の親じゃないけど、親の暖かみを私は再び思い出すことができたのだ。
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